自分の状態を言語化する


大人のピアノレッスンでは、弾きにくい所、できない所、困った所、ちょっとした疑問を話しながらレッスンの中で解決していきます。

でもお子さんの場合、これがとてもしにくいです。

なぜなら、子ども自分のことを客観的に見ることがそもそも苦手です。

客観的に見られるようになるのは、子どもの場合、中学生以上とのことです。「中学生になっても自分のことを客観的に見られないの?」と私もはじめは驚きました。

自分を客観的に見られるのは、交友関係が広がり大きく心が育つ高校生ぐらいからなのだそうです。

ピアノに限らず、楽器演奏は、自分の演奏を客観的に見ることから始まります。

演奏で間違えることはよくあることです。

でも大切なのは、間違いをなくすことではなく、自分の音楽がどのように聴こえているか?です。

なぜ間違ったのかの原因がわからないと、解決しようがないのです。

どんなに先生が指摘をしても、本人が間違う原因を突き止められなかったら、やはり演奏が良くなることはありません。

ただやみくもに練習をしていても、何も変わりません。


大切なことは、「間違ったこと」ではなく「何が原因だったのか?」を突き止めること。

間違うのは、悪いことではないですし、責められるものでもありません。

ピアノの練習では、間違うものです。

間違った時、まず「間違ってしまったこと」を受け止めます。そして「間違ってしまった理由」を見つけるのです。


間違わない様にするのではなく、間違ってしまった現状を見ます。

間違いにもいろいろな種類があって、それは

・違う音を弾いてしまった

・止まってしまった

・音が抜けてしまった

などです。

そして、それらのミスが、どうして起こったのかを、明らかにしていきます。

間違ったことが「悪い」のではなく、「間違ってしまった」と気づくこと。そして「なぜ間違ったのだろう?」と考えること。

私はこれらのことを、ある時期までは

「間違ってしまったね」とただ伝え、どうしたら間違わないようになるかを伝えるだけでした。

でも私からの指摘だけだと、生徒の演奏がなかなか良くならないことがありました。

そこで、その良くならない原因は何かな?と考えたのです。


レッスンで、お子さんに「ここがすんなり入れなかったね」、「止まってしまったね」、などと伝えると、顔が曇ってしまいます。

子どもは、否定的な指摘されると、自分が否定されたように感じてしまうのです。

大人のレッスンと子どものレッスンはここが決定的に違います。

大人は失敗してもいいから、出来ない理由を突き止めようとします。

どうしてこんなに違うのかというと、それは、自分を肯定する力が未熟であるからです。

自分が否定されると、自分の存在そのものがゆらいでしまうのです。

ある時、生徒さんがその箇所に来ると何度も音を間違えて弾くので「どうしてここがひっかかってしまうんだと思う?」と聞いたのです。

するとしばらく時間を置いてから「弾く前にしっかり考えられていないからじゃないかな?」と答えが返ってきました。

私は「じゃあ、この箇所から音や指を考えながら弾ける速さで弾いてみたらどうかな?」と提案すると、間違わず弾くことができました。

自分ができていない理由を深く考え、言語化する。

特に体感覚優位の子は、考えて、考えて、考え抜いて、自分にしっくり合う言葉を探して発言するので、ある程度、待ってあげる。(このタイプのお子さんは決して無口というわけではありません。)

そしてその原因を突き止めて、言語化する。

その理由がもしかして間違っているかもしれない。でもいいのです。そうやって繰り返し言語化をして、自分ができていない本当の理由を理解していく。

そのプロセスを大切にしたいです。

はじめは、間違うことが悪いことではない。を何度も話していきます。

音楽は、間違わないところまでもっていくのがゴールではなく、そこからスタートです。

間違わなくなったから、今度はどのように表現するかを考えていきます。


ソレイユピアノ教室

さいたま市上落合にある個人ピアノ教室です。NLP実践心理学に基づき、子どもたちが意欲的にピアノに取り組めるように支援しています。

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